労務税務定期便 No.42 2020年11月15日号

同一労働同一賃金に関する令和2年10月13日判決について

1 令和2年10月13日に下された第三小法廷による判決2件は、平成30年6月1日に下された(いわゆる)ハマキョウレックス事件及び長澤運輸事件の各判例を踏まえた規範を定立し、これに当てはめる形で、有期労働契約者に対して支給されなかった「賞与」、「休職給」及び「退職金」について、同労働者から為された賠償請求を各々棄却しました。

 すなわち、旧労働契約法20条は「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」と定めているところ、不合理か否かの判断は、賃金については、「両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく、当該賃金項目の趣旨を個別に考慮するべきものと解するのが相当」(長澤運輸事件)であり、「賞与の支給に係るもの」についても(後記大阪医科大学事件)、「退職金の支給に係るもの」についても(後記東京メトロ事件)、「他の労働条件の相違と同様に、当該使用者における賞与(後記大阪医科大学事件の判旨)・退職金(後記東京メトロ事件の判旨)の性質やこれを支給することとされた目的を踏まえて同条所定の諸事情を考慮することにより、当該労働条件の相違が不合理と評価することができるものであるか否かを検討すべきものである。」(以上、下線部のうち、括弧書きは筆者)と判示しました。

2 大阪医科大学事件(令和元年(受)第1055・1056号地位確認等請求事件)

(1)事案

 本件は、第1審被告大阪医科大学において、薬理学教室内の秘書業務をするために「アルバイト職員(時給950円~)」として雇用されていた第1審原告が、契約期間を1年以内とする有期労働契約を3度更新して約2年勤務した後、適応障害のために1年休職して退職したが、期間の定めのない「正職員」であれば支払われる①賞与や②休職給(私傷病により休職した場合、正職員には6か月までは全額その後は2割の給与が支給されるが、アルバイト職員には支給されない)が支払われず、③夏期特別有給休暇が与えられなかったとして賠償請求等したところ、原審が、「正職員」の賞与の60%に相当する額の賠償(①)、夏期特別有給休暇に相当する額の賠償(③)及び、休職給として一部賠償(②)を認めた(認めるにとどまった)ため、原被告ともに上告した事案です。

(2)判旨

 本件の「正職員」については、「業務の内容の難度や責任の程度が高く、人材の育成や活用を目的とした人事異動が行われていたもの」であって、正職員に対する賞与は、「正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的」を有するものであるところ、第1審原告の業務は「相当に軽易」であって「両者の『職務の内容』に一定の相違があったことは否定できない」し、正職員にはある人事異動についても「アルバイト職員については、原則として業務命令によって配置転換されることはなく」、「両者の職務の内容及び配置の変更の範囲(以下『変更の範囲』という)に一定の相違があったことも否定できない」し、さらに「アルバイト職員については、契約職員及び正職員へ段階的に職種を変更するための試験による登用制度が設けられていた」ことを考慮すれば、両者に「賞与に係る労働条件の相違があることは、不合理であるとまで評価することができるものとはいえない。」と判示しました。

 また、休職給についても、「正職員が長期にわたり継続して就労し、又は将来にわたって継続して就労することが期待されることに照らし、正職員の生活保障を図るとともに、その雇用を維持し確保するという目的」を有するものと認定し、アルバイト職員は「長期雇用を前提とした勤務を予定しているものとは言い難い」し、特に第1審原告については、「欠勤期間を含む在籍期間も3年余りにとどまり、その勤続期間が相当の長期間に及んでいたとは言い難」いとして、同様の結論を導いています。

3 東京メトロ事件(令和元年(受)第1190・1191号損害賠償等請求事件)

(1)事案

 本件は、東京メトロの駅構内売店の販売業務をするために、契約期間を1年以内とする有期労働契約(「契約社員B」時給1000円~)の更新を繰り返して相当長期間勤務した後65歳に達して退職した第1審原告らが、期間の定めのない「正社員」であれば支払われる④退職金及び⑤住宅手当等が支払われなかったとして賠償請求したところ、原審が、住宅手当に相当する額の賠償(⑤)を認め、「正社員」の退職金の4分の1に相当する額の賠償(④)を認めた(認めるにとどまった)ため、原被告ともに上告した事案です。

(2)判旨

 本件の退職金は「正社員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から、様々な部署等で継続的に就労することが期待される正社員に対し退職金を支給することとしたもの」であると認定した上で、「正社員」と有期労働契約者(「契約社員B」)の間には、『職務の内容』に一定の相違があり(正社員は、「複数の売店を統括し、売上向上のための指導、改善業務等の売店業務のサポートやトラブル処理、商品補充に関する業務等を行うエリアマネージャー業務に従事することがあった」が「契約社員B」は売店業務専従である。)、『変更の範囲』にも一定の相違があり(「契約社員B]は「業務の場所の変更を命ぜられることはあっても、業務の内容に変更はなく、配置転換等を命ぜられることはなかった」)、さらに「契約社員A」や「正社員」への登用制度があることも考慮して、「売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員Bである第1審原告らに対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当である。」と判示しました。

執筆 弁護士 奥岡眞人

「労務税務定期便」No.42送付のごあいさつ

 お目通しいただきありがとうございます。私どもは、使用者側の法律事務所として、登美ヶ丘(学園前)を拠点に、数十社の企業様、医院様、自治体様の顧問弁護士を担当しております。このたび、私どもの経験、ノウハウなどをお伝えする「労務税務定期便」を発行いたしました。
先生方におかれまして、ご笑納いただければ幸甚です。

代表弁護士 奥岡眞人
大阪弁護士会所属
代表弁護士 奥岡 眞人

所属弁護士(奈良弁護士会所属)

■ コラム ■

我が家のペット

 私は、虫が嫌いです。見ていて気持ち悪いだけでなく、刺したり這い上ってきたりするので、本当に恐ろしくてなりません。

 さて、一昨年の夏、当時、未就学児の息子が、ザリガニを公園にいたお友達からもらってきて、家で飼い始めました。ザリガニの餌は、100円ショップの「ザリガニの餌」です。昨年の夏、息子がまたザリガニを今度は家の近くの池で拾い、同じケースで飼い始めました。間もなく、ザリガニの一匹が死に、気づいたら、もう一匹のザリガニのお腹にたくさん卵様のものがあるではありませんか!!! やがて、そのザリガニも死に、卵だけが残り、やがて、30匹ほどの小さなザリガニが生まれました! 結局、最後に一匹だけが生き残り、今年の夏を乗り越え、大人のザリガニになりつつあったのですが、先日、脱皮に失敗し、死んでしまいました。 私は、ザリガニとて、あまり好きではありませんが、それでも、少し寂しい気持ちになりました。

 同じ今年の夏、小学生の息子は、お友達からスズムシのペアをもらってきました。それから、外でコオロギを捕まえてきて、これも別のケージで飼い始めました。どちらも餌は、「きゅうり」や「なす」です。スズムシもコオロギも、どちらもきれいな声で鳴きますね。声だけ聞くのは、いいものです。スズムシは、最初にオスが死に、先日、メスも死にました。その空いたケージに、今は、カマキリが入っています。そして、先ほどお話したザリガニの空いたケージにも、別のカマキリが入っています。カマキリの餌は???そうです、生きた虫なんです!!!息子は、今、時々、「バッタ」を捕ってきて、カマキリのケージに入れています。カマキリと同じほどの大きなサイズの「バッタ」が入っていたこともあり、カマキリが生きるのに必要とはいえ、見たくないです。息子に庭に放すように言うのですが、卵をもうすぐ産むから嫌だ、というのです。え~、、、今度は、カマキリの卵ですか、、、。本当にケージで卵を産んで、それがみんな孵化したら、、、、“餌”もたくさんいるよね、、、、。

 このカマキリがどうなるか、知りたい方には、またの機会にお教えしましょう、、、。

執筆担当 弁護士 田辺美紀

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