労務税務定期便 No.30 2019年11月15日号

現代的な「経歴詐称」-「経験」の詐称と対策

1 業務「経験」の自己申告

 経歴詐称は、古くて新しい問題です。昔から、前職の会社名や出身校を偽る、言いたくない経歴を申告しない、という例がありましたが、現代では、別の形で問題となっています。

 それは、中途採用や経験者採用の際の「職務経験」の詐称です。過剰な自己PRといえるような程度の事例から、「本当のことを知っていたら採用しなかったのに・・・」というような、まさに詐称といえる事案まで様々あります。

 中途採用者の場合、過去の経験を活かして即戦力として活躍するのはもちろん、むしろ、即戦力を超える大きな役割を期待し、選考の基準も、その点に焦点が当てられます。しかし、これを見極めるのは簡単ではありません。特定の業務につき、「業務経験がある」と自己申告していながらも、実際は、単に同じ部署にいただけで、計画や実行には殆ど携わっていなかった、という例もあります。

 そのような「経験」の詐称に対し、どのように対処すればよいでしょうか。

2 事後の方法

(1)懲戒解雇は難しい

 典型的な「就業規則」には、経歴詐称は懲戒事由として規定されています。それでは、「経験」を詐称して入社した従業員を懲戒解雇することができるでしょうか。結論から言いますと、懲戒解雇はまず難しいと思います。

 ケース・バイ・ケースの判断になりますが、懲戒解雇が出来る場合があるとすれば、自己申告と実態との差が極めて大きく、しかも、それが採否に直結したような場合です。例えば、ほぼ経験のない業務について、経験が相当あると嘘をつき、そのために採用された、というような特別の場合に限られると考えます。

(2)社員の業績評価の問題としての対応

 そうしますと、いったん採用をした以上は、その社員の業績の高低は、業績評価の問題として捉えることになります。協議のうえ、配置換えや業務変更などを試み、その社員が最も業績を発揮できる環境を探す、というのが原則的な対応です。その意味では、いわゆる「ロー・パフォーマー社員」への対応と似ています。試用期間後の本採用拒否や、退職勧奨という対応を検討する余地もありますが、ご存知のように、ハードルは高いのが実情です。

3 予防方法―採用面接の工夫

 このように、経験者の採用に失敗することは、会社と従業員の双方にデメリットが生じます。

 そこで、やはり、面接選考の精度を上げる、というのが一番効果的な方法となると考えます。具体的には、①求めているスキル・知識・ノウハウを具体的に示し、理解の程度を確かめる。②事例を設定して、仮に責任者として遂行する場合、どのような点に配慮するのか等のシミュレーションを行い、面接官とディスカッションをする、という方法があります。

 このような遣り取りをすれば、「見たり聞いたりしただけ」なのか、それとも、「自分自身が汗を書き、上下左右に気を配り、知恵を絞って悪戦苦闘した末に、本当の『経験』を手にしているのか」は、自ずから明らかになると思います。

 憶測かもしれませんが、求職者の方が、やや過剰な自己PRをされる背景の一つと思われるのは、就職活動用の「職務経歴書」のテンプレートで、過去の職務経験を詳しく書く欄が設けられています。求職者としては、全ての欄を埋めなければならない、という気持ちになり、誇張しがちになってしまうのものかもしれません。仮に、テンプレートの経験欄が如何に魅力的な内容で埋められていても、それに惑わされず、御社の業務のために必要とお考えのスキル・知恵について、厳正な審査をさせることをお勧めいたします。

4 おわりに

 今回は、「経験」の誇張や詐称について見てきましたが、人間を相手にすることですので、画一的な対応はなじまないと思います。たとえば、「経験は少ないものの、強い熱意があり、成長が期待できる」という判断は、もちろん合理的です。そのような判断をするためにこそ、過去の経験については、「本当のこと」を把握することが大切だと考えます。

執筆担当 弁護士 小川哲史

「労務税務定期便」No.30送付のごあいさつ

 お目通しいただきありがとうございます。私どもは、使用者側の法律事務所として、登美ヶ丘(学園前)を拠点に、数十社の企業様、医院様、自治体様の顧問弁護士を担当しております。 このたび、私どもの経験、ノウハウなどをお伝えする「労務税務定期便」を発行いたしました。
先生方におかれまして、ご笑納いただければ幸甚です。

代表弁護士 奥岡眞人
大阪弁護士会所属
代表弁護士 奥岡 眞人

所属弁護士(奈良弁護士会所属)

■ コラム ■

~ さんふらわあ号の船旅 ~

 先日、さんふらわあ号に乗船しました! (株)商船三井が99%出資する(株)フェリーさんふらわあは、現在、大阪⇔別府、神戸⇔大分、大阪⇔志布志に船を就航しています。乗船したのは、大阪別府間を運航するフェリ-で、大阪南港を20時ころに出港し、別府に翌朝8時頃に入港します。総トン数9245トン、前長153メートル、全幅25メートル、航海速力22.4ノット、旅客定員710名のフェリーは、間近でみると巨大な箱形ホテル! 白い船体に描かれた地平線から昇る燃える太陽は、「さんふらわあ」のシンボルです。1970年初頭に、日本高速フェリーが建造した初代「さんふらわあ」は、名古屋・高知・鹿児島航路を運航した豪華客船で、船内にはプール、レストランシアターなども設けられていたそうですが、現在、同じ「さんふらわあ」の名前を引き継いでいるフェリーは手頃な価格でカジュアルクルーズを楽しめます。

 客室は、主にツーリスト(大部屋)、ツーリストベッド、ファーストなどの種類の部屋が用意されています。今回宿泊したのはファーストで、海側に面して窓があり、2段ベッド2基、テレビ、机、洗面台、備品などが用意されています。ツーリストベッドとの差額は1000円程度なので、快適な船旅を楽しみたい方には、こちらの方がお勧めです!(ツーリストベッドとファーストの双方に宿泊したことのある9歳男子談)。船内では、夜9時ころまで、ミュージックナイトなどの様々なイベントが実施され、これらのイベントや船内探索を楽しんでいるうちに、やがて、夜9時過ぎころ、さんふらわあは明石海峡大橋の下を通り抜けます。ライトアップされた橋の下を通り抜けるところは、必見!

 大阪⇔別府航路は海が穏やかでほとんど波が立ちませんので、酔いやすい方でも大丈夫! 皆さんも、さんふらわあの船旅、いかがですか?!

執筆担当 弁護士田辺美紀

相談予約受付中 0742-81-8361相談予約受付中 0742-81-8361
メールによるお問い合わせは24時間受付
メールによるお問い合わせ
労務税務定期便バックナンバー 労務税務定期便申込みはこちら
使用者側の労働問題を弁護士が解説!

生駒事務所(奈良・登美ヶ丘)

住所

〒631-0003 奈良市中登美ヶ丘6-3-3 
リコラス登美ヶ丘A棟202号
TEL 0742-81-8361 
FAX 0742-81-8362

電車

近鉄けいはんな線「学研奈良登美ヶ丘駅」南出口を出ると、目の前にrecolax(リコラス登美ヶ丘)があります。その2階(コンビニエンスストアの真上)に生駒事務所があります。

自動車

  1. 精華町、木津川市、京田辺市、交野市、四條畷市からは、国道163号線を使用し、「鹿畑町」交差点を南へ曲がって直ぐです。学研奈良登美ヶ丘駅の手前のガソリンスタンドを超えたところを左折し、同駅北口やリコラスの手前の細い道を南に進むと、右手にリコラスの時間貸駐車場があります(90分無料となりますので駐車券を当事務所にご持参下さい。)
  2. 第二阪奈道路を使用した場合は、「中町インター」を下りて北へ向かい、近鉄学園前駅の横を通って更に北へ向かって下さい。学研奈良登美ヶ丘駅の手前で側道に入り、同駅南口の正面を通り、道なりに右へ曲がったところにリコラスの時間貸駐車場があります(90分無料となりますので駐車券を当事務所にご持参下さい。)。

松柏法律事務所(大阪・北浜)

住所

〒530-0047 大阪市北区西天満1-7-20
JIN・ORIXビル 802号
TEL 06-6360-6500 
FAX 06-6360-6540

電車

京阪本線もしくは地下鉄堺筋線「北浜駅」を下車し、(京阪)26番出口から地上へ出て下さい。または、京阪中之島線「なにわ橋駅」を下車し、3番出口から地上へ出て下さい。

難波橋(通称ライオン橋)を北側にわたりきったところにある交差点(難波橋北詰)の北西角(わたりきって左側)にあるビルです。

自動車

阪神高速環状線の「北浜出口」から一般道に下りたところにある交差点(難波橋北詰)の北西角(わたりきって左側)にあるビルです。来客用の駐車場がありませんので、お近くのコインパーキングか弁護士会の地下(有料)に駐車した上でお越し下さい。


Copyright(c) SHOHAKU legal profession corporation. All Rights Reserved.